【マンガ大賞2021】ノミネート作品を徹底レビュー!【東京まんがたり読書会】

漫画紹介


2021年1月、2021年度のマンガ大賞候補10作品が発表されました。

マンガ大賞は「販促を目的としない」賞で
「漫画家」「編集者」などの本職以外の有志の方を選考員として運営している漫画賞です。

選考対象は2020年に単行本が発売された作品のうち最大巻数が8巻以内の作品なのでこれから読み始めやすく、販売サイドが審査員にいないので商業的な意図が含まれない純粋に面白い作品が選考されていることが特徴です

今回はマンガ大賞の候補に選ばれた10作品の紹介および感想を書いた記事です。

是非この記事を「マンガ大賞の予想」や「次に読む漫画を選ぶ」参考にしていただければ幸いです!


マンガ大賞ノミネート10作品

【 推しの子 】 赤坂アカ × 横槍メンゴ


「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」 地方都市で、産婦人科医として働くゴロー。芸能界とは無縁の日々。一方、彼の“推し”のアイドル・星野アイは、スターダムを上り始めていた。そんな二人が“最悪”の出会いを果たし、運命が動き出す…!? “赤坂アカ×横槍メンゴ”の豪華タッグが全く新しい切り口で“芸能界”を描く衝撃作開幕!!(amazonより引用)

「かぐや様は告らせたい」で有名な漫画家・赤坂アカ先生が原案の漫画。

産婦人科医の主人公が何者かに殺され、目が覚めると自分が推しているアイドルの子供に転生しているという超設定。

設定からして奇抜で今までにない作品として惹かれるところではありますが、それに加えて面白いのがこの漫画が主人公を殺した犯人は誰なのか?を追うサスペンス漫画であり、芸能やテレビ業界のビジネスモデルを描いた芸能ビジネス漫画であり、主人公を取り巻くキャラクターを交えたラブコメ作品であり、アイドルとしてヒロインが成り上がる青春群像劇でもあるという多面性(あと女の子がかわいい)。

教養としても娯楽としても鑑賞に堪える漫画なので、ラブコメ好きだけでなく
ショービジネスとかアイドル関係に興味があるビジネス志向の人も楽しめる漫画です。

読後の印象

かわいい】【展開に驚く】【勉強になる




【 女の園の星 】 和山やま


ある女子校、2年4組担任・星先生。生徒たちが学級日誌で繰り広げる絵しりとりに翻弄され、教室で犬のお世話をし、漫画家志望の生徒にアドバイス。時には同僚と飲みに行く…。な~んてことない日常が、なぜこんなにも笑えて愛おしいんでしょう!?どんな時もあなたを笑わせる未体験マンガ、お確かめあれ!電子版にも本体表紙を収録!(amazonより引用)

女子高でクラス担任をしている主人公「 星 三津彦 」の日常を描いたコメディ漫画。

和山先生はいわゆる「人の日常」を描くことを得意とされている漫画家さんですが、奇抜な設定とか突飛なキャラクターが出てこないにも関わらず主人公と生徒の会話とか同僚の先生との「普通の掛け合い」がとても面白く、今作でも読んでいてクスっと笑えるシーンがたくさん出てきます。

ゆるい雰囲気の漫画が好きな方や癖の無い笑える漫画を探している方にオススメです!
(個人的にはマン・ケーン教の話がすごく好きです。)

読後の印象

笑える】【ほっこりする】【癖がない




【 怪獣8号 】 松本直也


怪獣発生率が世界屈指の日本。この国は、容赦なく怪獣が日常を侵していた。かつて防衛隊員を目指していたが、今は怪獣専門清掃業で働く日比野カフカ。ある日カフカは、謎の生物によって、身体が怪獣化、怪獣討伐を担う日本防衛隊からコードネーム「怪獣8号」と呼ばれる存在になる。(amazonより引用)

アラサー主人公が防衛隊員になる夢を追いかけて奮闘する熱血ストーリーと、ヒーロー戦隊ものの世界観を掛け合わせたバトル漫画。

怪獣から人々を守る防衛隊員に憧れる主人公が怪獣の力を手に入れ、逆に人間に討伐される側になってしまうというダークヒーロー的なテイストや、防衛隊員としての才能がない主人公が夢に向けて奮闘する少年漫画的な雰囲気も持ち合わせたとにかく熱い作品です。

熱いバトル物や一歩踏み出す勇気を読んでいると貰える作品なので
熱いバトル漫画やちょっと変わった戦隊ヒーローものなどが好きな方にオススメの作品です。

読後の印象

熱い】【勇気をもらえる】【かっこいい




【 葬送のフリーレン 】 山田鐘人 × アベツカサ


魔王を倒した勇者一行の後日譚ファンタジー。魔王を倒した勇者一行の“その後”。魔法使いフリーレンはエルフであり、他の3人と違う部分があります。彼女が”後”の世界で生きること、感じることとは–残った者たちが紡ぐ、葬送と祈りとは–物語は“冒険の終わり”から始まる。英雄たちの“生き様”を物語る、後日譚(アフター)ファンタジー!(amazonより引用)

舞台は勇者が魔王を倒し平和になった後の世界。
勇者の仲間の一人・魔法使いのフリーレンが「人間を知る為に世界を旅をする」異世界ファンタジー漫画。

1000年以上の寿命を持つエルフであるヒロイン兼主人公のフリーレンが旅の道中で、様々な人間の死や人生に触れ「人間という種族」を理解していくというストーリー。

今作は勇者の死後の世界を取り扱っているという特異性もさることながら、人よりも長寿であるフリーレンの視点から人間の生きざまや人生が俯瞰的に描かれており、穏やかでゆったりとした雰囲気ながらも考えさせられる作品。

異世界ものが好きな方や人生など哲学的なことをゆっくり考えるのが好きな方にオススメの作品です。

読後の印象

考えさせられる】【感動】【美しい




【 チ。 ―地球の運動について 】 魚豊


舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった――(amazonより引用)

舞台は中世ヨーロッパ。
天動説が信じられていた世界で、太陽を中心に地球が動いているという「地動説」を信じ研究してきた人々の生き様を描いた歴史系フィクション漫画作品。

作品の冒頭が異端信者の拷問シーンから始まるというセンセーショナルでバイオレンスな雰囲気の本作ですが、異説を唱えただけで火あぶりにされる理不尽な社会の中で、地動説という己の真理を貫いた人々描いた熱い作品でもあります。

歴史が好きな方や緊張感のある雰囲気の漫画が好きだという方にオススメです。

読後の印象

考えさせられる】【勉強になる】【勇気をもらえる




【 九龍ジェネリックロマンス 】 眉月じゅん


此処は東洋の魔窟、九龍城砦。ノスタルジー溢れる人々が暮らし、街並みに過去・現在・未来が交差するディストピア。はたらく30代の男女の非日常で贈る日常と密かな想いと関係性をあざやかに描き出す理想的なラヴロマンスを貴方に――。(amazonより引用)

台湾のスラム街「 九龍城砦 (くーろんじょうさい)」を舞台とした大人の恋愛漫画。

ノスタルジックな雰囲気を醸し出す眉月さんの絵柄も相まってどこか懐かしい雰囲気を感じる本作。

メインのストーリーは主人公「工藤 発 (くどうはじめ)」とヒロイン「鯨井 玲子 (くじらいれいこ)」による30代の大人の恋愛を描いたストーリーですが、ヒロインの鯨井玲子が過去の記憶を持っていないという点や九龍城砦から姿を消す住民など、サスペンス的な展開や伏線が張り巡らされたミステリー漫画としての一面も持っている奥深い作品。

男女のすれ違いを中心とした恋愛漫画が好きな方や伏線が張り巡らされたミステリーが好きな方にオススメです。

読後の印象

ロマンチック】【懐かしい】【展開に驚く




【 カラオケ行こ! 】 和山やま


合唱部部長の聡実はヤクザの狂児にからまれて歌のレッスンを頼まれる。彼は、絶対に歌がうまくなりたい狂児に毎週拉致されて嫌々ながら歌唱指導を行うが、やがてふたりの間には奇妙な友情が芽生えてきて……?話題の作品が描き下ろしを加えて待望のコミックス化!!(amazonより引用)

「女の園の星」に並び2作目のノミネートとなった和山やま先生の日常系コメディ漫画。
中学合唱部の部長「岡聡美(おか さとみ)」が地元ヤクザの若頭補佐「 成田狂児(なりた きょうじ) 」に頼み込まれ、なぜかカラオケ指導をすることになってしまうというストーリー。

文化部の主人公とヤクザの奇妙な関係を描いた作品ですが、カラオケ練習で出てくる歌が「紅」とか「タイガー&ドラゴン」とかちょっと懐かしい&俗っぽかったり、ヤクザに突っ込む主人公の聡美君が結構毒舌だったり、和山先生の作品らしく「くすっと笑えるコメディ」となっているのが非常に面白いです。

1巻で完結するのでサクッと読みたい方や笑いあり涙ありの人情コメディが好きな方にオススメです!

読後の印象

笑える】【ほっこりする】【青春を感じる




【 SPY×FAMILY 】 遠藤達哉


名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った“娘”は心を読む超能力者! “妻”は暗殺者で!? 互いに正体を隠した仮初め家族が、受験と世界の危機に立ち向かう痛快ホームコメディ!!(amazonより引用)

百の顔を持つ伝説のスパイ「黄昏(たそがれ)」が、敵国の総統の息子がいる学校に侵入するというミッションのために、精神科医「ロイド・フォージャー」になりすまし、母親も子供も仮初の偽家族を作りドタバタ劇を繰り広げるというコメディ漫画です。

作品の魅力はなんといってもギャグセンスの高さと魅力的なキャラクター。
ロイドがスパイ、母親の「ヨル」が殺し屋、娘の「アーニャ」が人の心が読める超能力者という「裏の顔」があり、それぞれのキャラがお互いの裏の顔を知らないことで起こるアンジャッシュのすれ違いコントのようなギャグが非常に面白く、電車の中で吹き出してしまうぐらい笑えます(あと娘のアーニャが表情豊かでかわいいです)。

ギャグセンスの高い漫画が好きな方やかわいいキャラクターが出てくる漫画が好きな方にオススメです!

読後の印象

笑える】【楽しい】【かわいい




【 水は海に向かって流れる 】 田島列島


高校への進学を機に、叔父の家に居候することになった直達。だが最寄りの駅に迎えにきたのは見知らぬ大人の女性、榊さんだった。案内された家の住人は、親に黙って脱サラしたマンガ家(叔父)、女装の占い師、ヒゲメガネの大学教授、どこか影のある25歳OLと、いずれも曲者揃い。そこに高校1年生の直達を加えて、男女5人での一つ屋根の下、奇妙な共同生活が始まった。(amazonより引用)

とある事情で親元を離れ、漫画家をする叔父の家に居候することになった高校生の主人公の「熊沢直達」が、なぜか居候先の叔父の家に住んでいる一見なんのつながりもなさそうな男女5名と生活する日常を描いた漫画です。

作品の雰囲気はゆったりとしており、一見するとハートフル系日常漫画かな?と思うのですが、実際のストーリーやキャラクターの関係がディープなのが面白いところ。ネタバレになるので書きませんが、同居人のOL榊さんと主人公の直達くんの関係が昼ドラか!というぐらいの感じなのに、まったく重苦しい雰囲気になっていないのがこの漫画の不思議な魅力です。

トレンディドラマ的な人間関係の濃ゆい設定が好きな方や、ちょっと変わった日常系漫画が読みたい方にオススメです。

読後の印象

ほっこりする】【展開に驚く】【やさしい気持ちになる




【 メタモルフォーゼの縁側 】 鶴谷香央理


ふと立ち寄った書店で老婦人が手にしたのは1冊のBLコミックス。75歳にしてBLを知った老婦人と書店員の女子高生が織りなすのは穏やかで優しい、しかし心がさざめく日々でした。(amazonより引用)

75歳のおばあちゃん「市野井 雪」がたまたま入った書店で見つけたBL(ボーイズラブ)漫画をきっかけにBLにハマり、それをきっかけに書店でバイトとして働く女子高生「佐山うらら」と「BL本好き」という共通項で友人になっていくというストーリー。

60歳以上の年の差を感じないほど雪さんとうららさん掛け合いが旧知の普通の友人のように自然で「ほっこり」させられるのが、この作品の面白いところ。個人的には雪さんとうららさんがコミケに行って、BL本の列に並ぶという話が好きです(BL本を買いにコミケの列に並ぶ75歳を見れるのはこの漫画だけかも)。

BL本といってもBLシーンとかは全然出てこないので、そういったものが苦手な人でも
ほっこりした雰囲気の漫画が好きな方は一兆の価値ありです!

読後の印象

ほっこりする】【楽しい】【やさしい気持ちになる




まとめと大賞作品の予想


今年度の作品はバトル系が怪獣8号だけということで
コメディや日常系が多く集まった印象です。

ちなみに私の大賞予想は「SPY×FAMILY」です。
個人的に好きだというのもあるんですが、昨年のマンガ大賞2020でもノミネートされている作品ということで満を持しての受賞があるのではないかという予想。

どの漫画も連載が始まってまだ日が浅く、8巻以内で読むことができるので
もし気になるマンガがあれば是非読んでみてください!




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